婚約者の浮気相手は母でした。
本編
「リビルト、こんな所にいたのね」
「アメルタさん、すみません。抜け出すのに少し時間がかかってしまって」
「仕方ないことだわ。あなたの立場を考えたら、当然のこと……」

 おぞましいものを見ている。目の前の光景に、私はめまいを覚えていた。
 そこにいるのは、私の婚約者であるリビルト様だ。彼はとある女性と親しそうに話している。

 彼が浮気しているのではないかという疑いは、前々からあった。
 そもそも私が帰宅するはずの彼をこっそりとつけてきたのは、疑いを覚えていたからである。故にこの光景にも、本来であれば納得するだけで驚きはしなかったはずだ。
 しかし事実として、私は驚いていた。それは、リビルト様の相手が原因である。

「アルメアとは、上手くいっているの?」
「ええ、まあ悪い関係ではないと思っていますよ」
「歯切れが悪いわね」
「それはそうでしょう。僕はあなたと、こういう関係である訳ですし……」
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