手の届かない、桜の木の下の君へ



待ちに待った外泊の日

色々悩んだけどもう楽しむしかないと思って

今日のために買っておいた洋服に着替える

準備をしていると診察のために先生がきて



「おはよう、どう?」

「元気だよー、すごく楽しみ」

「良かった。無理し過ぎないでね」

「わかってるー、」

「あのさ、ことり」

「なに?」

「外泊から帰ってきたらさ、ちょっと話あるんだ」

「なに、怖いんだけど」



少しおちゃらけて言ったのに、真剣な顔を崩さないから大切な話なんだと悟る



「わかった。帰ってからね」

「うん、楽しんで」



そのまま先生が玄関まで送ってくれた



「あ、そうくんに行ったよーって言ってほしい」

「・・わかった、言っておく」

「ありがと
 じゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい」



そうくんの名前を出すと、またちょっとだけ顔が曇ったように見えて

もやもやしたけど、今日は楽しい日だから

外へ足を一歩踏み出した
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