手の届かない、桜の木の下の君へ


翌日、学校が終わったあとに向かったのは606号室

コンコン

「はい、どうぞ」

「お邪魔しまーす。こんにちは」

「こんにちは、座って座って」

「ありがとう」

「こちらこそ来てくれてありがとう
 もう少し話してみたかったんだ」

「私も」

ベッドサイドの椅子に座って

「がっこう、?」

「あー、そうそう。学校がね病院の中にあるんだ」

「すごいね、まだまだ知らないことがたくさん」

「ふふ。ここ、本当にいい病院だよ」

「ことりちゃんはずっとこの病院に?」

「うん、物心ついたときには居たんだ。
 中学の頃は退院してた時期もあったけど、17年間ほぼここ」

「そっか、」

そう言ってそうくんが悲しそうな顔をするのであわてて

「悲しそうな顔しないで。笑
 自分のこと不幸だと思ってないから」

「そっか、ほんとうに良いところなんだね」

「うん、きっと好きになると思う」
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