この結婚には愛しかない
【番外編②】-side宮内佐和-
例えば神田さんを初めて見た時。

うわ、かっこよ。正統派イケメン目の保養。って思った。

出社したらこんなイケメンの顔毎日拝めるんだモチベ上がる!とも思ったけど、恋愛感情は一切なかった。


でも莉央の付き添いで行ったスーツ屋で、レジ対応をしている男性店員を見た時、身体中に電気が走ったような衝撃を受けた。


その人は慣れた手つきで商品を包装し、女性客に自然な笑顔で声をかけながら、紙袋を手渡し丁寧に見送った。

目が離せなくて、動きを目で追ってしまう。

それなのに、ふと目が合った瞬間反射的に目を逸らし、たまらず莉央に駆け寄った。


「莉央...ヤバい一目惚れした」

「え?」

うそ、どの人?と店内をきょろきょろする莉央に、あの人。と目線で知らせる。

「かっこいいね」

「だよね、ヤバくない?」

「佐和ちょっと顔赤くなってるよ。あ、こっち来た」

「うそ!」


「今日は何をお探しですか」

声までかっこよくて、顔を見れない。


「仕事で着るスーツを新調したくて。パンツスーツがいいんですけど」

「色は何色をお考えですか?」

莉央が接客されるのを横目で見ながら、すっごいドキドキして、心臓がヤバい。
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