この結婚には愛しかない
「どうしたら肩の力が抜ける?」

「分かりません」

「キスかな?」

「キス!?」

「ははっ違った。ハグかな?」


部屋に入った時、着せていただいた神田さんのジャケットは脱いでハンガーにかけた。

長袖とはいえ、透け感のある薄手のワンピースだと、ワイシャツにジレの神田さんの男らしい体つきをリアルに感じられて、心臓がバクバクしている。

絶対神田さんにバレてる。


「こっち向いて」

また窓ガラス越しに目線が交差し、素直に振り返り、神田さんの体に腕を回した。

神田さんもハグをしてくださって、いい匂いがするねと髪を撫でてくださった。


「髪型もかわいいね。解きたくなる」

「神田さん...」

「ワンピースも脱がしたいよ」

「なっ、えっ?」

「まあそれはおいおい。どうしようかな、話したら緊張ほぐれる?あ、一緒に風呂入ろっか」

「虐めないでください」

「ははっ、まあ風呂もおいおいね」


神田さんの“おいおい”が怖い。
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