あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
 イーモンは元気だろうか。
「そうそう。ウリヤナには礼を言わねばと思っていたんだ。それもあって、今日、来たんだよ」
「だったら、その礼とやらを言ったら、いい加減、帰れ」
「妻と子には、三日くらいこっちにいると言ったからね。そんなすぐに帰ったら、私とレナートが喧嘩をしたと思われてしまうだろう?」
 三日もいるつもりか、と隣から聞こえた。
 今日から三日間、こんなやりとりが続くというわけだ。それを想像したら、つい笑みがこぼれる。
「ウリヤナ?」
 レナートの眼差しを感じる。
「いえ、なんでもないよ。仲の良い兄弟だな、と思って。あ、陛下の前で失礼しました」
「そうそう。私とレナートの仲は良いのだよ。君たちのようにね。って、そうやってすぐに人を威嚇するのをやめてくれないか? そしてさりげなくウリヤナの腰に手を回すな」
 この二人にとってはいつものことですから、とロイがこっそりと口にする。
 それよりも彼に触れられている場所が熱い。
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