あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
 彼女はカップに手を伸ばし、残りのお茶を一気に飲み干した。
 だから、そんな彼女から目が離せないのだ。
「レナート様? お顔が真っ赤ですが、大丈夫ですか?」
 そう指摘する彼女の頬も紅色に染まっている。
「大丈夫だ。こういったことに慣れていないだけだ」
「私もです」
「お前に、触れてもいいか?」
「はい」
 だが、先に手を伸ばしてきたのはウリヤナだった。レナートの手と自身の手を重ねる。
「これからゆっくりと、お互いのことが理解できればいいなと思っております」
「俺もだ。お前の腹に触れたい。俺の子に魔力を注ぎたい」
 そのまま彼女は、レナートの手を腹部へと誘った。
「ここにいる子は、俺の子だ」
「はい。この子はあなたの子です」
 そのままレナートは、彼女と唇を重ねた。彼女もそれを静かに受け入れた。
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