溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
ドキドキしてるのは私だけ
 [ドキドキしてるのは私だけ]


「えっっ、夜這いしたの?若葉やるじゃん!」


「へ?よばいってまさかっ。
そんなんじゃないよ」


「でも、彼が寝ていたベッドにもぐりこんだんでしょ?」


昨夜のことを教室で晶ちゃんにこっそり話していたら、彼女がヒートアップしてきてしまった。


すると、彼女の後ろでコホンと咳払いがして……。


見れば、先日から新しく晶ちゃんの執事になった薫さんが呆れ返ったような渋い顔をしている。


ボーイッシュな雰囲気の彼女は、男性の執事にも引けを取らないくらいに、カッコよくてしっかりしている。


しかも、執事科3年生の彼女は凛とした美しさも兼ね備えた女性。


そんな新しい執事は、晶ちゃんの話では礼儀作法とかにはうるさいらしい。


「お嬢様方、なんてはしたない話をしてらっしゃるんですか?」


「す、すみませんっ」


すかさず謝る私。


「いいじゃん、べつにー」
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