溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
真剣な口調で言われて、胸がドキドキと高鳴る。


きっと何か大切な話をしてくれようとしているんだ。


「俺はこれまで、執事としてお嬢様のそばにいられるだけで充分だと思っていました。」


「うん」


両手を胸の前でギュッと握って彼を見上げる。


「けど、ずっと前から……」


彼の耳たぶは、うっすらと赤い。


「お嬢様のことが……」


ブーン、ブーン


その時、スカートのポケットに入れてあるスマホのバイブ音がしたけれど放っておいた。


今はそれどころじゃない。彼の話の方が気になるから。


もしかしたらって期待が膨らむ。


さっき天堂さんとの話を聞いていたから期待せずにはいられなかった。


どうか私の勘違いじゃありませんように。


彼は一歩前に出て私の両手を包みこむと優しく口づける。

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