冴えないモブ先生の正体はS級王子様!?
「俺、後悔してないんだけど、この気持ち、どーしたらいい?」

「え?」

「だってリリのこといいなって思ってたから。俺がリリの初めてになれて嬉しかったし。あーでも、」

「なに?」

「リリに会えなくなるのは困ったなぁ。どうしよっかなぁ」

「黙ってる…私…」

「なんで?リリは襲われたほうだから俺を訴える権利があるだろ」

言えなかった。
私だって、私を求めてくれたことが嬉しかったなんて。

頭も良くないしどんくさい。
自分に魅力なんて感じないから、そんな風に思ってくれていたことが嬉しかった。

「ごめんなさい」

「なにが?」

「かげで嫌な呼び方して。容姿だけで先生を否定したりして。すごく都合がよくてふざけるなって思うだろうけど、もう言わない。ごめんなさい。みんなが嫌いならおんなじように嫌ってもいいって思ってた。いじめと一緒だよね。ごめんなさい」

「みんなが嫌いとかサラッと傷エグるなぁ?いや、別にいいんだけど。どう思われたって、本当の俺を隠してても視界に入れてくれたのはお前だけだから」

ほんとはその容姿はフェイクだって、ちょっと知ってたとは言わなかった。

モブセンはどうしても隠したかったみたいだから。

「あー、どうしよっかな」

「うん?」

「一回自制できなくなったら俺、もうムリかも?お前のこと、隠せないかもなー」

そんな不穏な言葉を残して、水瀬先生はガタガタって鳴らしながらドアを開けた。

「あ、中間でちゃんと点数取れよ」

どうやら単位の件はチャラにはならないらしい。
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