半径3cm未満に(2)
「信じてなかった?」

「…だって…」

「ま、そうだよねえ。」

先生はそう言うと少し腕の力を抜いた。

「…正直、俺も色々思うことあるんだよ」

先生は先生だけど、1人の人間でもある。

そのことを忘れてしまう私がいた。

大人とか子どもとか、先生とか生徒とか関係なく、悩みというものは存在する。

先生には先生にしかわからない沢山の悩みがあると今更気づいた。

「…よし、今日はもう帰ろうか。」

「…え?」

「戻るのもしんどいんじゃない?
俺はみつりに診てほしかったけど、今日は恋衣が無理っぽいし。でしょ?」

「…いいの?」

「また来よう。話せる状態の時に。」

「…気づいてたんだ…」

「一応、ね。
今歩けないよね?
どうしよう、おぶろうか。
お姫様抱っこしてもいいけど」

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