半径3cm未満に(2)
「いいよ。帰ろう。」

その言葉は、すごく暖かかった。

「うん」

ずっとこのままがいい。

ずっと先生の暖かいところにいたい。

私が先生に迷惑ばっかりかけてるのはわかってるはずなのに、こんなこと思ったらいけないはずなのに。

そう思ってしまった。

「車で待ってて。俺みつりに声掛けて来るから。」

そう言って車の前であっさり降ろされてしまった。

「うん」

車の鍵を開けてから背中を向ける先生。

「先生」

振り向いてくれる先生に、一言ありがとうとだけ伝えた。

「今じゃなくても帰ってからでいいじゃん」

「なんか…今言いたかった」
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