半径3cm未満に(2)
あの日の放課後。

『ねえ、何で星川先生に話したの?』

日向より少し遅れて空き教室に入った恒成はすぐに言った。

『…私が、たえられなかったから…この気持ち、美宙ちゃんにはわかんないと思う…』

今までにないくらいの小さな声を出した日向。

『はあ、あのね、恋衣。
うち、葉羽に相談されてたんだよ?恋衣にはぶかれてうざいって。』

『私が、葉羽ちゃんを、はぶいてた…?』

『だから恋衣へのしかえししただけ。
葉羽のかわりに。』

日の目には涙がたまっていて、今にもこぼれおちそうだった。

『恋衣も見たでしょ?あの手紙』

俺には何の話をしているのかさっぱりわからなかったけど、日向と恒成は言い争いをしていた。

『葉羽かわいそうだよね〜。同じグループだった子に裏切られるなんて。でしょ?恋衣』

『…私…悪くないもん…全部、葉羽ちゃんの嘘だもん』

『は?』

『私、葉羽ちゃんに美宙ちゃんが私のこと嫌いって言ってたって言われた』

『は…?…何言ってんの…私そんなこと言ってない!
適当な嘘つかないで!!』

ガチャンッ!と、そばにあった椅子を日向に投げつけた恒成は、その場を後にしーー。

ーー結局、解決できなかった。
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