年下の彼は甘い甘い鬼



「ほら」


目の前でヒロの小指が立っている


「ん?」


「指切りしとこう」


「指切り?」


「うん。もう二度と無茶をしないって約束」


「・・・うん。分かった」


ヒロの指と絡ませて指切りをする


「ゆ〜びきりげんまん。う〜そついたら・・・監禁し〜ちゃうっ。指切った」


「・・・え」


針千本じゃないと気づいた時には絡めていた指は離れていて

クスクス笑うヒロは


「オネエサンが嘘つけば良いのに」


監禁する気満々のようだ


「どうして私に何かあったって分かったんだろう」


「ん?それは・・・」


「それは?」


「せっかく買ったお弁当を食べてなかったから」


「・・・勘が鋭い」


お弁当を食べなかったのは自己嫌悪かはだけど

遭遇しなければ自己嫌悪も無かったから
やっぱり合っているのかもしれない


「ヒロって鋭いよね」


「オネエサンのこと、よく見てるからね」


「フフ」


「だから笑い事じゃないんだって」


「南の街に来てからかもしれないね
周りを見る余裕ができたからかな」


西の街に戻った一年間は祖父の家と病院の往復だけだったから

他人を見る余裕なんて無かった


「それは良い意味なのかな?」


だから
「良い意味だよ」


息苦しい西の街から離れて良かった

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