誰も知らないもうひとつのシンデレラストーリー

Real&Story6

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「電車通学?」

「うん、妃花も?」

「うん」


何気ない普通の会話を交わしながら歩く私達。


やっぱり二人きりの時の皇輝は、

学校での冗談めいたことしか言わない彼とは少し違う。


案外落ち着いて会話ができて、私は以前感じた穏やかな気持ちを思い出していた。


「あ、たい焼き…」


じつは甘いものが大好きな私。

駅の近くの広場にたい焼きのキッチンカーが居ることに気付き、思わず呟いてしまう。


「うわ、ほんとだ。食わねー?」


目を輝かせた皇輝が何となくかわいく見えて、私は、小さく頷いた。


まあ、誘われなくても、買って帰るつもりだったし。


意味のない言い訳を自分の中で唱えて、私はキッチンカーへ向かう皇輝の隣に並んだ。


いろいろな味のあるたい焼きに悩みながら、

私は結局いつものカスタード味を選択した。


皇輝は一番人気のつぶあんを選択。


「つぶあん一つと、カスタード一つ!」


元気に注文をして、彼は当然のように私の分もお金を払ってくれた。
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