【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない

でも由瑠の想いは、違うところに向いている。


由瑠にとっての正解は、俺が隣にいることじゃない。


「わかってる。本当は手離さなきゃって」


神崎に「傷つけたら許さない」と忠告するより、「あいつを頼んだと」と託すのが正しかった。

そう頭ではわかっていても、心がついてこない。


俺は額に腕を乗せ、行き場のない感情を吐き出した。


「でもあいつ、本当にいい女なんだよな……」


手離したくない。

いつまでだって、俺の隣で、俺にだけ笑っていてほしい。
< 205 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop