夏の天使
「うぉ、めちゃくちゃ可愛いじゃん。嬢ちゃん、俺たちと気持ちいいことしないか?」
そう言って、少女の腕を掴んだ。
…いや、掴もうとした。
少女は瞬間移動かの用に獣の後ろにいた。
そして獣の首を手刀で、トン、と、触れた。
その獣は声も上げずにその場に崩れた。
「…お前何もんだ!!!」
他の獣が怒鳴った。
少女は静かに言った。
「ただの女だよ」
長く茶色い髪の毛が風になびき、月の光で銀色に輝いていた。
白いワンピースが映えるその姿はこの世のものとは思えない美しさだった___。
そしてこの次の日、繁華街の路地裏には沢山の獣が転がっていた。
しかし、みんな無傷で、ただ意識が無いだけ。
繁華街はその日から獣が大幅に減った。
倒れていた獣たちは、あの少女をうっすらと覚えていた。
茶色い長いストレートの髪の毛に白いワンピース。
まさに天使のような見た目と、皆口を揃えて言う。
しかし、少女はあの日以来姿を現さなかった。
そんな少女は『伝説の天使』と呼ばれ、都市伝説のように語られていった。