冬が終わっても春が来ても 君は、
「フユくん。夏休みが終わったら二学期じゃん」

「うん。そりゃあね?」

「二学期って長く感じるけどあっという間に冬になるよ」

「そうかも」

「そしたらもうクリスマスだよ」

「そうだね」

クリスマスに告白するのもアリかも?
いやいや、待たせ過ぎだ。
どれだけハルちゃんに甘えるつもりなんだよ。

「クリスマスも今のままでいいの?そんで春になったらクラス替えでナツミとは離れちゃうかもよ?」

「そうかもね…」

大丈夫。
そんなに待たなくても「ナツミ」はもうやめるから。

「私、フユくんが一年もかけてうじうじしてるなんて嫌だよ」

「俺も、こんな情けない自分は嫌だな。いっつもハルちゃんに助けてもらってさ。ごめんね?」

「フユくん、クリスマスまでにはナツミをかっこよく誘える男になってね?」

「なんで?」

「なんでって?」

「なんでハルちゃんはそんなに応援してくれるの?」

ハルちゃんは純粋に、ありもしない俺の恋を応援している。
親友ちゃんが言ったみたいな嫉妬なんて微塵も見せずに。

俺に興味ないみたいな顔をして。
俺の一番の味方だって顔をして。

「好きだからだよ」

「え?」

「フユくんが好きだから。笑ってて欲しいだけだよ」

そっか。
ハルちゃんはそういう子だ。

打算やずるい思考でハルちゃんの気を引こうとしてた俺とは正反対。

流れ星なんか無くても、心で人の幸せを願える子だ。

「ありがと。いつも味方でいてくれて」

「うん」

俺にくれた「好き」は、きっと俺が想う「好き」とは違う意味なのだろう。

どう在り続けることが「正しさ」なんだろう。

俺は君のことをすごく好きだけど、
君がそれを望んでいなかったら?

この関係性を壊すことで君が傷ついてしまったら?

それでも俺はもう親友の顔をして笑うのは嫌だった。

ハルちゃんのいちばんになりたい。

誰よりもハルちゃんの味方だけど、
誰よりもハルちゃんのことが好きだから。

「ナツミのことなんだけどさ、」

「今はだめ」

「だめなの?」

「うん。だめなの」

「変なハルちゃん」

「うん。変だよね」

最後の線香花火の火玉が落ちた。

「来年も一緒に花火しようね」

その言葉にハルちゃんは曖昧に笑った。

夏が終わって秋がくるけれど、すぐに冬がやってくる。

クリスマスまではもう待てないから、
夏が終わるまでには本当の気持ちを伝えるから。

あと十秒あれば、言えたかもしれない。

ううん、あと五分だけ。

春が来て、またさよならなんて言わせない。

ハルちゃん。
その瞳にどうか俺だけを映して?

誰よりも君を、想ってる俺だから。



冬が終わっても春が来ても 君は、   完.
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