皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

屋上の手前までの階段でようやく腕を振りほどく。黒川君も「あぁ、わり。」と、謝っているのか謝っていないかの適当な返事をされる。


「うわ、開いてねぇじゃん。漫画だったら開いてるぜ普通。」
「………。」


黒川君が屋上に入る為のシルバーのドアノブをガチャガチャ回して、鍵がかかっている事にまぁいいやと階段の踊り場に壁に背中をつけ、スッとあぐらをかく。


「座れば?えーと…名前なんてゆうの?」
「は、はぁ?」


私の返事なんか興味もないように、ポケットから携帯を出し、袖の長いカーディガンから見える長くて綺麗な指で操作をしている。


「あの、戻っていいですかね私。」
「いや…ダメだろ。てか、やっぱりマジなんだね。」
「何が?」


座らない私の目の前に黒川君がスッと立ち、急に目の前に来たかと思えば私の肩を持って身体をくるりと反転させ、さっきまで壁につけていた黒川君の代わりに私の背中を壁にドンとつけて、


「ドキドキしないでしょ?あんた。」


黒川君の腕は壁にいる私の頭の上に寄りかかり、息がかかるほどの超絶至近距離まで顔を近づかれる。


「いや、近い近い。何してんの。」
「壁ドンだよ?これ。」
「何それ、壁ドン?壁叩いてないじゃん。」

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