皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

「…なぁ。あんたの家って…びん…。苦しい感じ?」


上から急いで階段を降りてくる足音に、気を使われた台詞。
普通に【貧乏】って言ってくれても良いけどね。昔から言われ続けて慣れてるし。


「何が苦しいのかわからないけど、産まれた時からイケメンが普通の黒川君と同じ。産まれた時から私はこれが普通なんだよ。」


階段の踊り場で足を止めて、追い付かれた彼の顔を見て言う。


「てか、さっきから思ってたけど黒川君ておっきぃね!何センチあるの?何食べたらそんな大きくなれるわけ。」

「…184センチ。あんたは…小さいね。」

「黒川君と比べたら大体皆小さいでしょ。ていうかもう授業戻っていい?」


黒川君が困ったような、尚且つ憂いのような表情。何度も近くで見させてもらった彼の透き通るような肌。眉毛の一本一本すら整えられてて、さっき話していた芸能人という存在はこんなにも自分と姿形が違うものかと感心する。

私もこれくらい綺麗な容姿なら今とは違う人生を歩めるのだろうか。


「なんでボーッとしてるの?…今は俺以外の事考えないで。」


妙に甘えた顔と声。
他の女の子なら誰でも落ちちゃうだろうね。でも私はどうやらその誰でもの分類に入らないみたい。


「いや考えてるよ。羨ましい顔と体型してるなって。」
「あぁ!皆に言われる。俺も思うもん。」
「言わなきゃ良かった。」


< 30 / 168 >

この作品をシェア

pagetop