皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

黒星をつけられた気分


引き戸の扉を開けて、黒川君が目の前に立っていたイケメンお兄さんに話しかける。


「サーンキュ秀紀さん。あとオッケーで~す。お疲れ様でした。」
「おう、お疲れ様。あ、幸子ちゃんおはよう瑠色と仲良くね。」


もうなんだか驚く事が有りすぎたせいで、この人も私の名前を普通に呼んでいることに気にもしなくる。

前回かけていなかったメガネに、見えなかった顎ヒゲがまたイケメン過ぎて前回の失礼な発言を謝りたくなったが、


「おお!本当だ!」
「瑠色!キャー!」
「やば!可愛い~制服~!!」

と、話しかけられる状況ではない人だかりに、そしてその声援の中に黒川君は手を振りながら学校へと続く道を私と歩いていく。


「登校するので追いかけないで!」
「一般人もいるので写真はお控え下さい!」
「此処まで此処まで!!」


と、後ろで大人の声数人で人だかりを止めているのが聞こえて、朝から今の今までもう何がなんだか頭が追い付かない。


「あ~腹一杯。てか幸子あそこでバイトしてんだね。良い店じゃん。」
「あ、まぁ、はぁ。」
「何その返事、疲れてんの?」
「だって…調べてるんでしょ?私の何処まで知ってるの?怖いんだけど。」

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