皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

影も身体も重なる






「私の事惚れてませんけどね…。」


ついうっかり出てしまった本音に、お姉さんは何かを察知したのか、特に詳しく聞かないでいてくれて会計に進む。


「学生割で2800円です。」
「はい、これで。」
「3000円お預かりしますね。」

お釣りを貰う時に、お姉さんが一言。



「失恋したらまた切ってあげるからね!」と、ニコンと大きな笑顔で微妙に失礼な事を嫌味なく言ってきた。
2800円の出費には正直本当に痛かったが、お金を貯めたら今度からは頑張って此処に通いたいな。


そう思いながら美容室を出て、携帯を紙袋から取り出し黒川君にLINEをしようとすると、



---------
終わったら連絡して。
---------

と、先にLINEが届いていた。
黒川君とのやり取りに意識して見ると、確かに全く返事が来ておらず、私ばかり他愛もないメッセージを送っていた。

全然気付かなかったなぁ。とりあえずLINEの返事をしよう。

---------
何処に行けばいい?
---------

送信した数秒後に既読の文字

---------
あれ?早くない?
---------
---------
今日バイト休み
---------

送信した数秒後に着信の表示




『早く言えよ。』
『普通、電話の第一声ってもしもしが主流なんじゃないの?』
『もしもし、早く言えよウザ。』
『なんで暴言つくのよ。』

< 98 / 168 >

この作品をシェア

pagetop