君との恋のエトセトラ
「河合さん!」
「ん?どうしたの」

リビングのソファでパソコンに向かっていた航が顔を上げる。

「あの、早速お仕事をさせて頂きたくて。お掃除とお洗濯と…。まずは何から始めればいいですか?」
「そんな、いいから」
「ですが、そういう契約ですし」
「んー、じゃあコーヒーを淹れてくれる?」
「はい!かしこまりました」

キッチンに行こうとすると、先に航がカウンターの中に入ってコーヒーメーカーのスイッチを入れる。

「コーヒー豆はここね。カップはこれを使って。スイッチはここを押すだけ」
「はい」

凛はしっかり覚えながら頷く。

「わあ、とっても良い香り」
「コーヒーは好き?」
「はい。コーヒーも紅茶も好きです」
「そう、良かった。あ、紅茶はここにあるよ。ティーポットはここ」
「ありがとうございます。河合さんはいつどちらを飲むか、こだわりはありますか?」
「いや、特にないよ。あ、朝だけは必ずコーヒーかな」
「かしこまりました」

コーヒーをカップ二つに注ぐと、航は凛をソファに促した。

「ミルクとお砂糖は?」
「あ、ミルクだけで。河合さんはブラックなんですね?」
「うん」

凛は頭の中でメモする。

(朝はコーヒーってことは、朝食はパンの方がいいのかな?それとも和食で、食後にコーヒーとか?)

「どうかした?」

考え込んでいると航が声をかけてきた。

「あ、いえ。河合さんは朝食はいつも何を召し上がるんですか?」
「んー、適当かな。コーヒーは必ず飲むけど、ヨーグルトとかシリアルとか、食べない日もあるし」
「ええ?!ダメですよ、朝食は毎朝食べなきゃ。その日一日の活力になるんですから。これからは毎朝きちんと食べてくださいね!」
「う、うん。分かった」

くりっとした瞳で真剣に訴えられ、航は思わず真顔で頷く。
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