君との恋のエトセトラ
「おはようございます。河合さん、夕べお帰り遅かったんですか?私、気づかなくて。それにお夜食も食べなかったんですね。大丈夫ですか?」

いつもより遅く部屋から出てきた航に、凛は心配そうに声をかけた。

「どこか具合でも?」
「大丈夫だ」

短く答えた声がかすれている。
凛はますます心配になり、航の顔を覗き込んだ。

「河合さん、顔色が悪いです。熱は?」

額に手を当てようとすると、航は乱暴に払い除けた。

凛は驚いて立ちすくむ。

「ごめん。本当に大丈夫だから」

そう言うと、鞄を手に玄関へ向かう。

「河合さん!朝食は?」
「急ぐから。ごめん」

振り返りもせず玄関を出て行った航に呆然としていると、やがてパタンとドアが閉まる。

冷たいその音に、凛は涙が込み上げてきて、思わずギュッと胸元を握りしめた。
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