花森課長、もっと分かりやすく恋してくれませんか?
「美味しそうです、本当に」

 恋人に対して呟く。

「でしょう? 我ながら上手に仕上げられたと思ってます」

 私の本音を見誤り、満面の笑みで彼女は喜ぶ。何を考えていたか知ったら、また分かりにくいと指摘されるのだろう。もしくはむっつりと揶揄される。

 だが、それでもいい。彼女は分かりにくければ理解しようと試み、私を知ろうとしてくれるから。

「頂きます」

 挨拶をして手を合わせる。デザートのスペースを確保しつつ、恋人が作ったピザを味わう。

「はい、花森部長は炭酸水。香ちゃんには栄養ドリンク」

 マスターが神妙な顔付きで瓶を渡していた。

「栄養ドリンク? これ徹夜明けとかに飲む高級品だよね?」

「香、悪い事は言わないから飲んでおきなさい。健闘を祈る」

「はぁ? 兄さんまでどうしたの?」

 様子がおかしいよねと同意を求められ、私は微笑んだ。


おわり

 
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