【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。




 退勤時間が来ると、片付けて帰宅する。帰宅すればポストに一つの封筒が入っていた。


「あ、瑛一さんだ」


 家の中に入り、封筒の封を切る。
 すると【菊亭千愛さま、お元気ですか】という文章から手紙が始まっていた。

 そこには、瑛一さんからの好きな人が出来たこととその謝罪、婚約破棄をしてほしいということ、借金を一緒に返済は難しいこと……がつらつらと書かれていた。



「婚約破棄……かぁ」


 やっぱり、とは思った。
 だけど、瑛一さんはもしかしたら一緒に生きていく人なんだと思っていた部分も少しあったからショックを受けてしまった。



「好きな人、か。一生、添い遂げたい守りたい人ができたのか」


 これはきっと「おめでとう」と言うべきなんだろうな。だけど、素直にこの言葉は出なかった。

 それでも残ったのは、このお店と借金。

 私はきっと、アルバイトをしながら借金を返していくのだろう……そう思った時。今までほとんど鳴らなかったインターホンが鳴った。

  



 
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