【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。

◇父、亡くなる。



「いらっしゃいませー!」


 ここ、【御菓子司(おかしつかさ)・お(きく)】は老舗和菓子屋だ。創業は明治時代、当時は洋菓子やパンなどを作っていたらしいが、戦時中はお砂糖が手に入らなくて和菓子に重きを置いて作っていたらしいがそれでも大変だったらしいが、戦後はなんとか再建して今も和菓子屋としてやっていけている。

 私は、菊亭(きくてい)千愛(ちあ)。ここの一人娘であり今は若女将として働いている。


「千愛さん、練り切りできましたよ〜」

「ありがとうございます。瑛一(えいいち)さん」


 この人は、ウチで働いてくれている和菓子職人の瑛一さんだ。彼は私の婚約者で、結婚する時は婿になってくれる予定だ。

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