【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



「あの、私は由良乃千愛になりました。由良乃家の孫です」

「……っ、え、じゃあ、もしかして和成の――」


 大宮さんの言葉を遮るように「……俺の可愛い従妹(いもうと)だよ」と戻ってきた和成さんが言った。


「和成さん」

「一人にしてすまない。って、チカと知り合い?」

「知り合いってほどでは……お店の常連さんだったんです。和成さんは?」

「簡単に言えば、幼馴染だ。ちなみに、幼稚園から大学までずっと一緒でまさかの同じクラス。まぁ、腐れ縁ってやつだな」


 幼馴染、かぁ……。

 というか、ずっと同じクラスってすごい。



「……まぁ、そんな感じだ。千愛が食事したいと思って個室用意したんだが、行かない? 付いてきたいなら、チカも一緒に」


 確かに食事したい。このパーティーは立食形式なのだけど、挨拶したりしたらへとへとで食事まで辿り着かなかったから嬉しい。

 大宮さんと一緒なのは……とても緊張するけど。


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