【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



「大宮流派の大宮誓斗さん。和成の幼馴染の方なのだけど……千愛は知っている方?」

「あ、はい。パーティーでも会いました。父が亡くなる前、お店によくきてくださったんです。常連さんでした」

「そうなの? 不思議な縁もあるのねぇ」

「私も先日驚きました。まさか、また会えるなんて思っていなかったので」

「そうよね。でも本当にすごいわね。なら、行ってらっしゃいよ。だって、今暇してるんでしょう? そうだわ! いい機会だし、着物も仕立てをしましょうか。サカキさんに連絡しましょう」


 お祖母様は思い立ったらすぐ行動の人らしく、まだ話していたのにメイド長を呼んで呉服屋に連絡するように伝えた。


「サカキさんは老舗呉服屋さんでね、よくお世話になってるの。そこに所属している和裁士も腕が立ついい職人さんなのよ」


 サカキさんという呉服屋のプレゼンテーションのようなものが始まり、お祖母様は力説した。そして連絡がついたと思ったら、今から来て下さるらしい。

 お家に呉服屋さんが来るってどこの世界なの……ファンタジーの世界だと思ってたよ。
 



 その後、サカキさんの若旦那様と和裁士さんが本当に来てくださった。反物をたくさん見せてくれた。
 今若い子に人気なのはデニム地で出来ているお着物らしく、それに合わせて体に当てながら柄や色を決めたそれに合わせて帯も作って下さった。


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