【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



 そうは言うけど……お祖母様。
 私、今回初めて茶会という場に行くんです。お茶会なんて学生の頃に一度だけしかない。そんな場所に行ったことないし、作法もほとんど知らない。

 だから、念のためネットの動画で【煎茶道 テーブル 作法】って検索してしまったほどだ。


「千愛、今日は俺も行くから大丈夫だよ。心配しないで」

「和成さん……」

「ね? 今はリラックスしよう。それでこのパンケーキを食べよ」

「……はい。そうですね」


 私の目の前には、少し覚めてしまった朝食。
 今日の朝食は、バタークリームが乗ったパンケーキとスクランブルエッグにレタスのサラダ、ソーセージのプレートに汁物は野菜たっぷりのミネストローネだ。

 私はナイフとフォークを用いてパンケーキを一口サイズに切って食べる。


「……美味しいです」

「それはよかった。料理長も喜ぶ」

「後で、お礼を言ってきます」


 食べている間は、茶会のことは忘れることにして食べた。ここの料理人さんは有名なホテルで働いていたことがある方々だと聞いた。
 だからとても腕が良くて、味付けも完璧なのだ。

 完食すると、私はリビングを後にすると厨房へ向かう。料理長にお礼を言うためだ。
 毎日は行かないけど、何かあった時とかは言いにいったりしていることが多い。

 普通のお嬢様ならこんなふうにお礼は言わないだろうけど、いつもとても美味しい料理を作ってくださっているのだからそのお礼をどうしても言いたくなる。


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