【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。

 

「……もしかして気づかれていない?」  


 亜美は、そう呟きジト目をした。なんでそんな目で見るの!?


「何に、気づくの?」

「……それは自分で気づいて頂いた方がよろしいかと思いますよ。よし、できました」


 美容院のような鏡を持ってきて後ろの様子を見せてくれた。そこには緩いお団子の髪に小さな控えめの小花の簪がついていた。


「かわいい……ありがと」

「いいえ。今日の淡いピンクの着物も可愛らしいですね」


 今日、着た着物は淡く艶やかなピンクの絹地に雲文に金彩を品よく添えた吉祥の花々が咲き誇っていて絞りぞめや駒刺繍などの細やかな装飾が素敵な品だ。

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