拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 これには私のみならず、ファルザード様もさすがに驚きと戸惑いが隠し切れないようだった。
「陛下、まずは頭を上げてください」
 国王陛下は一昨日の夜、〝病のもと〟が体内から消滅した直後から、劇的な回復を見せたという。半月ほど病に伏していた期間があったとはいえ、もともと壮健な人だったのだろう。
 今も寝台の上で背もたれに半身を預けた状態ではあるが、とても昨日まで危篤状態だったとは思えない。なにより、真っ直ぐにファルザード様を見つめる目には、漲る生気が宿っている。
「この国を、正当なる王位継承者グレンバラ公爵──いや、ファルザード・デリスデンの手に戻したい」
「陛下……」
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