拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 内心の動揺を振り切るように叫び、そのまますぐ目の前に迫っていた扉を開け放った。
 そこで目にした少女──ティーナは、まるで光の粒子でも纏っているかのようにキラキラと輝いて見えた。
 その瞬間。俺は理屈ではなく、本能で理解していた。
 彼女は紛うことなく光の精霊の加護を持ついとし子。そして、俺と同じ運命を背負った同士であると。
「それを受け取ってはダメだ!」
 彼女の行動を制し、半ば体に染み付いた習性でカルマンの捕縛に動きながら、俺は己の命があるうちに同じ苦悩を分かち合える存在と出会えた奇跡に魂を震わせていた──。

 ──その僅か数分後。
 俺は彼女の精霊・ラーラから脛に食らった攻撃の余波に震えていた。
『ニャー《うぬぬぬ。てんで話にならぬしょんべんたれと思うておれば、なんとえげつない攻撃をしおってからに……まだビリビリしておるぞ》』
 俺の隣で同じように蹲って震えていたザイオンが歯噛みしながら訴えたら、ラーラが無邪気にコテンと小首を傾げた。
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