キラキラ王子様系男子の秘密を知ったら実はアブナイオオカミでした?!
満月の夜は
今日は満月の夜。悠斗先輩と約束した日だ。いつも通り、オープンスクエアに向かう。眩しいくらいの月明かりが照らしている場所に足を踏み入れる。すると、悠斗はもう来ていた。しかし、様子がおかしい。下を向いている悠斗の顔は見えない。
「先輩……?」
「はあ、はあ、はあ……」
息が荒い。
「大丈夫ですか?先輩……っ」
私が駆け寄ろうとすると、悠斗先輩は顔を上げた。その目は金色に光っていた。私を見ると、耳としっぽが顔を出す。そして、後ろの壁へ、私を押し付けた。
「……ッ」
悠斗先輩は、オオカミのような顔をしていた。そのまま私に顔を近付ける。そして、唇を重ね、る瞬間に私は突き飛ばした。
「正気に戻って、悠斗先輩!」
ふらふらしながら、悠斗は私を見る。
「……食べさせてくれないの?」
「殴ってでも、抑えるって話でしたよね」
「そんなこと、できるの?」
悠斗は息を荒らげながら、私に近付く。離れようとしたが、後ろは壁だ。押さえつけられ、逃げられない。
「……先輩……!」
フェロモンが強くなる。さすがの私も少し変な気分になる。やばい、このままじゃ、流される。悠斗が私の首筋に触れる。ぞくりとした感覚。そのまま肩に、手に触れられ、
「ひゃっ」
と声が出る。
(まずい……)
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