Hush night
覚悟を決める。
きっと殴られて蹴られて酷い扱いをされるのだろう。
それでもいい。
もう、……これ以上麗日を傷付けることは出来ない。
「……もう、やめよう」
なんとか絞り出した声は思うほか大きく、倉庫に響いた。
少し離れた場所に座っている兄が顔を顰めたことを悟る。
ドクッと嫌な鼓動が鳴り、いますぐ逃げ出したい衝動に駆られる。
「こんなこと、やめ、よう……お兄ちゃん」
今度は、はっきり目を見て言った。
兄のことを“お兄ちゃん”と呼んだのは、何年振りだろうか。