世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
「しっかりしろ! 羽瑠ちゃ​────…」

落ちてく瞼に抗えず、目を閉じた。



思い返せば私は​───────…


ーー……やだ……………………
ーー約束……したもん……………………っ
ーー結婚しようって……、言ってくれたもん…

何度、身勝手な愛を押しつけただろう。

そうだよね。

結星くんからしたら私、初対面同然だもんね。

諦めにも似たような乾いた笑みが、心のどこかにボトン…と落ちた。





中学1年の入学式の日。

河川敷の桜に夢中になっていた私は足を滑らせて、バランスを崩した。

でも……、それを受け止めてくれたのは、

「おっと……っ、あぶねっ…」


​───────…成瀬結星くんだった。


「怪我ない?」

「あ、はい……、すみません、私ボーとしてて……」

「桜。綺麗だもんね」

そう言って桜を見あげた横顔があまりにかっこよくて。

もう…、私の目は桜よりも彼を見たがっていた。

綺麗な人…。

一瞬で私の視線をかっさらっていった。

まだ、出会って数秒しか経ってない。

そんな段階で私は…

‪”‬ 付 き 合 っ て く だ さ い ‪”‬

と、言おうとしてしまった。

慌てて口を閉ざして、ただ俯いて頬を染めた。

「大丈夫?」

赤くなった頬を見られたくなくて…俯いたのに、こっちの気も知らずに、平然と覗き込んでくる彼。

「だっ、大丈夫っ!!!」
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