すみっこ屋敷の魔法使い

第×章

 窓の外を見つめる。

 どんよりと、空は曇っていた。外の天気なんて関係ないけれど。少女が屋敷の外に出ることはほとんどない。

 魔導書を読んで、紙に書き取って。恐ろしい魔術を学んで。それがいつ、どこで役に立つのかはわからないけれど。けれど、学びなさいと言われたから学んでいる。

 コンコンと扉がノックされる。少女はびくりと肩をふるわせた。


「モア。おいで。時間だよ」


 モア。少女の名前。

 モアは立ち上がり、扉に向かって歩く。

 ああ、今日も始まる。

 苦しい。怖いの。死にたいの。

 けれど、それが私の運命なのだと。何もかもを諦めて。
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