意地悪で優しいあなたの溺愛
全員で入場行進をし、開会式で校長のながーい話を聞いた。

「プログラム1番、クラス対抗リレー」

この学校は毎年、1番最初にリレーを行う。

珍しいが、一気に雰囲気が盛り上がる。

私のクラスであるB組は右京くんが1走目だ。

「位置について、よーい、」

パァンというピストルの音でリレーが始まった。

右京くんは1位を走っている。

ただ2位のクラスもかなり早いようで、抜かされるギリギリだ。

「うきょうーいけー!」

「王子さま~今日もかっこいいです~!!」

B組のみんなと右京くんのファンから応援の声が上がる。

「右京くんっ!がんばれー!!」

一際大きな声が響く。

声の持ち主は花梨だ。

花梨は気づいていないかも知れないがその目は完全に恋する乙女の目だ。

その瞬間、走っていた右京くんの唇の端が少しだけ持ち上がったような気がした。

結果、なんとか1位を維持しバトンは次の人の手に渡っていった。

しかし、その後B組は抜かされ続け、5走目である花梨の元にバトンか渡る頃には5位になっていた。

花梨はなんとか1人抜き、4位になった。

逆転出来ていたのは花梨だけで、アンカーの左京くんに最下位のバトンがまわってきた。
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