シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
~AKITO side ①~
穂高明人は今、目の前の女の子にじっと見られていた。
この日、ホテルで開催されていた会社の新年会のあと、適当にロビーに集まっていた者たちで2次会が催された。
明人は基本的に飲み会には参加しないのだが、今日は少々煩わしいことがあったので飲みたい気分だった。
まわりと適当に話を合わせて、周囲が盛り上がってきたところにひとりでゆっくり飲んでいたら、知らない女子社員が目の前に座ったのだ。
「どうかしたの?」
声をかけてみると、彼女は恥ずかしそうに頬を赤らめながら、おそらく精いっぱいの声でこちらに話しかけてきた。
「えっと、私は庶務の月島波留と申します。今日は、はじめてこのような会に参加しました。結構、にぎやかなんですね」
明人の第一印象はこうだ。
なぜ、うちの会社に女子高生が紛れ込んでいるのだろうと。
それくらい、目の前の彼女は幼く見えた。
どう考えても社会人とは思えないほど童顔で、肌がつるつるで可愛らしいのだ。
背徳感に似た感情を持つ。
同時に彼は手に入れたいと思った。
まだ誰の手にも堕ちていないと思われる純粋無垢な女の子だ。
(これはかなりの高級食材。ぜひ手に入れて俺の手で料理したい)
そう。彼の趣味は料理。
こうして、月島波留は知らないうちに明人に捕獲されることになる。
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