《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
 足早に厩へと向かい、愛馬に飛び乗った。
 ヤケになって強く手綱を引けば美しい白馬は大きく嘶き、王都の街に続く山道を駆け出した。

 ——俺だってエリーを愛してる……! 誰よりも強く、心から。
 
 夜風に変じた冷たい風がアレクシスの火照った頬を撫でる。
 こんなに急がずとも良かった。だが言いようのない重みに胸が押しつぶされそうで、気を紛らわせようと必要以上に馬の足を早めてしまう。

 胸に重くのしかかるのは、アレクシスが生まれて初めて感じた猛烈な嫉妬心であった。

 ——もしもあの男がエリーの異能を発現させたのだとすれば、俺のこれまでの苦悩は……何だった……?
 ふれたいと思う愛しさも、ふれられたいという願いも全て押し殺してきた俺の苦悶は、いとも簡単に砕かれてしまったというのか。

 ましてや相手は疑惑のかかる胡散な男だ。
 このまま奴に関わっていればエリアーナの身に危険が及ばぬとも限らない。

 宵闇に向かって馬を走らせながら、アレクシスは心の内で叫ぶ。

 —— エリーを愛せるのは俺だけだ……!



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