憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~

八月二十日は花火大会

「千晴お嬢様らしくないですよねぇ」

 八月二十日の十四時。
 花火大会は十九時から行われるが、十五時からホテルベリーズに宿泊を予定している。

 倉橋の娘に自室で着物の着つけしてもらっていると、彼女がこちらへ話しかけてきた。
 どうやら、私の行動に納得いかない様子だ。

「人混みとか、嫌いですよね? 毎年花火大会の日は、私いかないからってクールに宣言してましたよね? 彼氏持ちのCAから英雄扱いされてた……あの! お嬢様が! 有給を申請するなんて!」
「恥ずかしいから、強調しないでよ……」
「彼氏持ちの子たち、凄く驚いてました。あたしは毎度のことなんで文句言われるだけでしたけど、お嬢様はなんで? ついに男ができたのかーって、そりゃもう大騒ぎで!」

 倉橋はどうでもいい噂話を拾ってきては、私に拡散した。

 誰に何を言われようとも、航晴からお願いされたことなら叶えるしかないでしょう。
 彼は私の好きな人で……許婚なのだから……。

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