緒臣くんのキケンな誘惑。
でも、前のようにコソコソ話はなくなった。
付き合ってるとは言ってないけど、多分周りは空気で察したのだ。
たまに私に対する陰口が聞こえる時もあるが、その度に緒臣くんは手を握る力をギュッとして。
「聞かなくていいよ」
と私に笑って安心させてくれる。
その笑顔を見て周りも諦めるのだ。
今日はなにもないまま、玄関に行って靴を履き替える。
そして教室に向かおうと廊下に出ると。
「あ」
「…あ、千夏ちゃん……!と、紫月先輩」
「いや、付け足すように呼ばないで?」
千夏ちゃんと紫月先輩は二人で並んでこっちに向かってきていた。
ここで会うことが多すぎてもう驚かなくなってきている。もはやお馴染みのメンバーだ。
「幸せそうだなお前ら」
「…なんですか急に」
「羨ましいなって思って」
「…っちょっと、私の方見ないでよ」