緒臣くんのキケンな誘惑。




その瞬間、私が"みーちゃん"と呼んだ女の子はどんどん霞んでいき遠ざかって行った。

あ、まって……!行かないで……!

その子を引き留めようと手を伸ばすと。


「紫夕(しゆ)!!!早く起きなさーい!!」

「…んぇ?……うわあ!!」


一気に目の前に光が指したかと思うと、一瞬にして現実世界に戻された。

聞き覚えのある声が私の名前を叫んでガバッと飛び起きる。

目の前には私のことを見下ろしながら仁王立ちするお母さんの姿。


「アラーム何回鳴ってると思ってるの!早く起きないと準備する時間なくなるわよ!」

「…え、え?七時半……って、七時半!?嘘、危な……!!」


時計を二度確認しては、目もしっかりと覚めて急いでベッドから下りる。
そんな私の様子を見たお母さんはため息をつきながら私の部屋から去っていく。

やば……!学校なのに……!!

あと少し遅かったら髪の毛アイロン通すことも出来なかったよ……!ギリギリ……!




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