【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜

10.王女の失くしもの

 
 愛らしい桃色のフリルドレスに身を包んだペトロニラが、こちらに駆け寄って来て、同じテーブル席に座った。彼女がどうして姉と一緒にいるのかとしつこく問いかければ、ロアンは冗談めかしてデートだよと答え、ペトロニラの表情はあからさまに不機嫌になった。

 彼女の取り巻き令息たちも同じテーブルに着き、ステージを見ることになった。しかし、ペトロニラの関心はステージではなく、ロアンとルサレテの関係の方にばかり向いていて。

「ロアン様、どうしてお姉様と親しくされているんですか? 最近私のところにもあまり遊びに来てくださらないので……寂しいです」
「少し彼女に世話になってね。でも別に、そこまで親しい訳ではないよ。君とも以前と変わらず話しているじゃないか」
「それでも……最近はお姉様の方が一緒にいます」
「はは、いつからペトロニラはそんなにやきもち焼きになったんだ?」

 不機嫌そうに彼女が呟くと、ロアンは機嫌を取ろうと宥めた。楽しそうに話しているところを見るに、まだペトロニラへの好意はあるようだ。

(それもそうね。-100から始まった私が、長い付き合いがあるペトロニラに追いつくのは簡単じゃない)

 他の攻略対象たちも、ペトロニラと楽しそうに話していて、ルサレテだけは蚊帳の外だ。ペトロニラは、ルサレテを空気のように扱って、自分が会話の中心でいようとした。
 するとそのとき、ステージの大道芸人のパフォーマンスが突然中断される。
 同時に、ざわざわと騒がしくなる会場。どうしたのかと辺りの様子を観察していると、いち早く状況を察知したのはエリオットだった。

「何かあったのでしょうか」
「王女様が失くし物をしたようです。あちらをご覧に」

 真っ青になった王女と、侍女に護衛騎士たちがあちこちで何かを探していた。
 そして、ルサレテの空中ディスプレイに、『イベント発生』の文字が映る。王女が失くしたのは、青い宝石がついた指輪らしく、それを見つけてやることで――攻略対象全員の好感度がアップすると書いてある。
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