【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜

11.攻略対象の決め手

 
 それからも、ルサレテはロアンの好感度を上げるために頑張り続けた。もちろん、余裕があるときは、他の攻略対象たちにも親切にしておく。好かれることで、得することはあっても損することはないから。生き残るためには味方を増やさなくてはならない。
 また、早朝や夕方など、学園の授業がない時間を見つけては只管散歩してポイントを貯めて、攻略のために注ぎ込んだ。

 そして。好感度-100から開始した乙女ゲームだったが、半年かかってようやく、ルイ、エリオット、サイラスの好感度は0に。ロアンの好感度は70まで上げることができた。好感度が0になって攻略対象者たちは、当初ルサレテに向けていたような悪意がなくなり、それなりに親切にしてくれる。
 そして本命のロアンとは、かなり親しい友人くらいの関係値まで持っていくことができた。

 ルサレテへの好感度が上がっていくと同時に、ペトロニラは本来のわがままな気性が露呈し、取り巻いていた攻略対象たちが距離を置くようになった。

(まぁ、当然よね。これまでずっとゲームのサポートに頼っていたのが無くなったのだから)

 もしペトロニラが、根っこから優しくて思いやりのある人だったら、プレイヤーではなくなったとしても、攻略対象たちの心が離れることはなかっただろうに。

「お願いっ! また代わりに刺繍の課題をやってほしいの……! 私には難しくて。だからまた助けて?」


 学園の宿舎に向かう途中、建物の近くでペトロニラと3人の女子生徒が話しているのを見かけた。彼女たちは、貴族ではなく平民出身の生徒たちのようだった。

「お断りします」
「ど、どうして……?」
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