私は甘すぎる溺愛から逃れる方法を知らない
なんとか食欲がないまま昼食を食べ終わっても、薬が残っている。

しかも、熱で頭が上手く働かない。


「もう、電話かけてもいいかな……」


いつもの警戒心の強さが嘘のように、風邪の時は少し寂しいもので。

気づけば、私は電話を亮弥さんにかけていた。


「あの、亮弥さん……」


「玲乃?」


「はい。実は風邪で、薬が飲めなくて……どうしようって……」

頭が働かないせいで、説明もいつもより足りないことにも気づけない。


「薬を飲み終わるまで、電話を繋いでいてもいいですか……?」


「ああ、もちろん。大丈夫だよ。薬は何日分?」

「五日分です。毎食後に」

「じゃあ、一日三回電話をかけてくれればいい。朝夜は基本いつでもいいし、昼も私の会社は12時から13時なら昼休みだから」

「ありがとうございます……」
< 17 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop