拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜
「ここに、わが社の歴代インナーのデザインやパターンが載っています。勉強になれば」
「ありがとうございます!」

受け取ると、早速開きたい衝動に駆られたが、彼女が別の紙を取り出したので我慢した。手渡されたのは、当ブランドのテーマとイメージをまとめたものだった。

「『ジュエリーブロッサム』は宝石が花咲くような、美しく情熱的な初夜を、というコンセプトで立ち上げました。ウェディングドレスの下に着る、初夜を盛り上げる情熱的で蠱惑的なインナーウェアをイメージしています。
ウェディング用のインナーって、身体のラインを補正したり、ドレスのラインを出すために、シンプルなものが多いでしょう。でも、脱いだ後まで盛り上がる。そんなランジェリーを作りたいっていう想いから生まれたブランドなの」

「確かに、ドレス用の肌着はシンプルですね。ドレスに響かないように、白やベージュのものが多いですし。あっても小さな刺繍だけ、とか――」
「さすがドレスのデザイナーさんね! 分かってもらえて嬉しいわ!」

彼女は興奮気味に話す。

「あなたには、うちのデザイナーのデザインしたランジェリーを、ドレスへの影響やデザイン、刺繍パターン等の観点から再監修して欲しいと思っているの。よろしくお願いします」
「頑張ります!」

思わず声が張りあがってしまい、マネージャーさんがフフッと笑った。彼女からは、もう棘のようなものは感じなかった。

「話はこれで終わるけれど、その資料、見ていく?」
「はい。勉強させてください!」

私はワクワクしながら、お借りした資料を開いた。
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