君にサヨナラを

俺と彼女

-ピーンポーン-

バン!

扉が勢いよく開いた。

「凛!待ちなさい!こら!」

開いたと同時に母親の怒り声が聞こえた。

「うるさい!もういいよ、その話は!

ごめんね、ゆうくん。行こ。」

凛は俺の手を繋ぎスタスタと歩き出した。

「凛!」

俺は振り返り頭だけ下げた。

母親は困った顔をし、こちらをじっと見つめていた。

「ゆうくん、今日の放課後デート楽しみだね!ふふ!」

「そうだな。」

俺はニコリと微笑んだ。

そんな俺は、春野優真(はるの ゆうま)。

高校3年。

そして、隣でデートが楽しみだと嬉しそうにしているのが俺の彼女の花咲凛(はなさき りん)。

凛にはいつもゆうくんと呼ばれている。

「さっきすげぇ怒ってたけど母親となんかあった?」

「あー…ちょっとね。

ゆうくんが迎えに来たからって言ったら、

いい加減にしなさい!って怒られたんだよね。」

前までは何も言わなかったのに。っと困った顔をしていた。

俺はなんだか悲しい気持ちになってしまった。

でも、仕方なのないことだとも思う。

俺が世間一般的に言われるヤンキー。

つまり不良だからだろう。

そんな俺とは真反対な凛。

凛は、見た目はギャルっぽいが中身は真面目で大人しい子だ。

そんな凛と出会ったのは高1の入学式。

俺は式なんて参加したくなくてサボってやろうと思って中庭へ向かっていた。

その途中の廊下でたまたま見かけたのが凛だった。

凛は友達と2人で楽しそうに喋っていた。

話している途中で不意に見せた笑顔に、

何故だか分からないけど凄く惹かれたんだ。

一目惚れというやつだろうか?

それから俺は凛に話しかけるようになった。

最初は驚いた顔をしていたが、

次第になんでも話してくれるようになった。

そして、高1の夏。

夏休みに入る前に凛を中庭に呼び出し告った。

振られると思っていたが、

凛は俺と付き合ってくれた。

なんだか嬉しそうな顔をしていた。

これが俺たちの出会いと始まり。

俺はこの時に決めたんだ。

絶対大切にすると。

一生守ると。

そして、現在に戻る。
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