辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

16歳の誕生日


 
 秋になって庭園の方も菜園の方も寂しくなっていく時期だけど、まだ元気に根を張っている植物もあって、レナルドと一緒に植物の手入れをするのが私の日課になっていた。


 「葉物はもう終わりね……その代わり根菜類は土の中で根付いて実をつけるから、収穫はこれからだし楽しみだわ」

 「奥様は本当に畑仕事がお好きなんですね~こんなに毎日菜園の手入れをしに来る人はなかなかいませんよ。特に貴族の令嬢ともなると、まずやらないと思います」

 「そうかしら……きっと表立って言わないだけで、やっている人もいると思うのだけど。教えたら好きになる人もいると思うわ」


 自分が好きだからそう思うのかもしれないけど……でもエリーナにも姫様が畑仕事なんてってよく言われていたような――


 「ほとんどいないと思いますよ。まず汚れるのを嫌がりますしね。私は奥様とこうやって畑仕事が出来るのは、楽しくて好きですけど」


 レナルドがそう言って笑ってくれるから、ここの居心地がとてもいいのよね。


 「ありがとう、レナルドがそう言ってくれるおかげで、私もますます庭仕事が好きになったわ!先日テオ様のお誕生日会でここの野菜を使って料理をしたの。美味しいって沢山食べてもらえて嬉しかった……」

 「………………旦那様と仲良くしていらっしゃって良かったです。一時はどうなる事かと……」


 ステファニー様の事を誤解してしまった時の事を言っているのね……


 「あの時はレナルドにも沢山心配かけてしまって、ごめんなさい。エリーナから後で聞いたの…………レナルドも心配していたって。私が二人を連れて行ってしまったが為に嫌な思いをさせてしまったわね……」
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