辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

 私は晴れて自由の身となり、ヒルドにアプローチをし始めた。

 ヒルドも照れながらも受け入れてくれて、このまま婚約して結婚、という流れになるのかと思っていた…………


 私が14歳のある日、お父様のお仕事に付いて行って、ヒルドが王宮に来ていると聞いたから探しに歩いていた時の事…………美しい中庭で歩き疲れて休んでいたら、ヒルドの友達と名乗る伯爵家の令息が声をかけてきた。


 ヒルドのお友達だし、愛想を振りまいておいた方がいいかなと思った私は、笑顔で対応していた。


 するとその令息は気をよくしたのか、どんどんせまってきて…………ベンチで押し倒されて、力で組み敷かれて………………あの時の事は今も思い出したくないわ。


 辛うじてファーストキスは守り通したけど、令息が触れたところが汚くてたまらない。


 ヒルドが駆けつけて、令息を殴り飛ばし、私を守ってくれて…………やっぱりヒルドは私の王子様だと思った。でもその後の対応を私は間違ってしまう。自分が汚い者だと思ってヒルドの手を払い退けてしまって…………


 その日からヒルドは、私に一切触らなくなった。


 近くにいるのに一番遠い――――――


 そして月日が流れ、テオドールの元に可愛らしい王女がやってくる。でも彼はなかなか会わせてくれなくて……14歳で敵国から嫁いできた姫の事をとても大切にしている事が私にも伝わってくる。
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